電力会社と学界

 

そもそも、原子力というジャンルに参入している大学というものは、東京大学をはじめとする数えるほどの大学しかありません。電力会社は、このような稀少な大学や研究機関に寄付や研究資金などを積極的に提供してきた歴史があります。

 

そして、原子力を推進する立場をとる学者たちを接待したり、ポストや資金など充実した研究環境を提供するなどして、電力会社に都合の悪い情報は発信しないいわゆる御用学者を作り上げることに熱心だったわけです。

 

原子力は絶対に安全であるというお墨付きをその専門家から得ることが、原子力を推進していく上においては電力会社にとって絶対に必要なことであったのです。また、いわゆる御用学者というものを原子力委員会や原子力安全委員会などの政府の審議会メンバーに推薦することによって、電力会社にとって都合のよい発言をしてもらうようにしたり、さらに原子力を推進するために必要な理論的な裏付けなどをすることで電力会社に貢献するように働きかけたりもしているようです。

 

さらに、日本原子力学会には、学者だけではなく、電力会社や電力メーカーなどの技術系役員なども多く所属しています。そこには産業界と学界という壁を越えた師弟関係というものも存在するようであり、基本的には原子力を推進する立場をとる専門家たちは皆仲間であるといってもいいようです。電力会社はこのような関係を上手く利用して学界にも強い影響力を及ぼしてきたのです。